作品番号:32 ドリームタイム − 母なる大地、育まれるいのち
縦:1167mm
横:910mm
縦+横:2077mm
アボリジニの精神世界を独自の画法で昇華させた「ドリームタイム」シリーズ。本作は、縦116.7cm × 横91.0cmという圧倒的なスケールの中に、母子の絆や生命の尊厳を描き出した、深い情愛に満ちた飾り画です。
本作の最大の特徴は、伝統的な水墨と現代的なアクリル表現が織りなす重層的な物語性にあります。 キャンバスの最下層には、水墨によって古代から伝わるモチーフや象徴的な生き物たちが無数に描き込まれ、人類が共有する「古の記憶」の地層を形成しています。その静謐な地層の上から、お腹の袋に子供を抱いたカンガルーや、寄り添い合う生命たちが、緻密な幾何学模様を纏ってアクリル絵具で大胆に重ねられています。
下地の水墨画が透けて見えることで、前面に描かれた生き物たちは単独の存在ではなく、悠久の時から続く「いのちの連なり」の一部であることが示されています。アボリジニの精神において、全ての命は母なる大地から生まれ、大きな環(わ)の中で共に生き、次の世代へと記憶を繋いでいく存在です。その温かな調和のメッセージが、画面全体から力強く放たれています。

