作品番号:14 「東尋坊」− 墨の呼吸が描く、大地の咆哮
縦:806mm
横:690mm
縦+横:1496mm
北陸の奇勝「東尋坊」を、一切の装飾を排した純粋な水墨の技法で描き出した、力強さと静寂が同居する傑作です。
下地に頼ることなく、墨の濃淡と鋭い筆の運びだけで表現された柱状節理の断崖。そこには、数千万年という歳月をかけて波と風が刻み込んだ「大地の年輪」が、墨の重なりによって克明に映し出されています。切り立った岩肌の鋭さ、そしてその足元で激しく砕け散る白波の飛沫——。水墨特有の「掠れ」や「滲み」を自在に操ることで、荒々しい自然の息遣いが見事にキャンバスへ定着されています。
作家が旅を通して見つめてきた「いのちの連なり」は、この動かぬ岩壁と、絶え間なく押し寄せる波の対比の中に凝縮されています。余白を巧みに活かした構図からは、日本海の冷たく澄んだ空気や、空間を震わせる轟音までもが伝わってくるようです。

